カブトガニ
カブトガニの産卵の地、今津
環境省のレッドデータブックでは、絶滅危惧I類に指定されており、地域によっては天然記念物に指定されています。福岡では天然記念物にはなっておりませんが、古生代からその姿がほとんど変わっていない「生きた化石」と呼ばれる生物のひとつで、大変貴重な生物となってしまいました。
今津は、このカブトガニの産卵が確認されている数少ない場所のひとつです。
【カブトガニを見るには】
カブトガニは、いつでも気軽に見ることができる訳ではありません。 産卵は7月~8月の大潮の時になります。卵から孵るのは9月頃となります。海に少し入れるような格好をしていらっしゃればよいかと思います。 この時期は、研究調査のためなどで来訪されている方もいらっしゃいますので、現地で話しかけて情報交換なさるのも良いかと思います。
また、観察できる場所は、今津橋を渡って500mほどの所にある四所神社前を中心とした海岸となります。
カブトガニの保全活動や、孵化等の様子を記録した動画がこちらからご覧いただけます↓
今津干潟
瑞梅寺川(ずいばいじがわ)が今津湾に流れ込む河口の干潟で、絶滅危惧種であるクロツラヘラサギ、ツクシガモなどの珍鳥のほか、カモ、サギの仲間など多くの野鳥が渡ってくる水鳥の宝庫です。また、カブトガニの産卵地としても有名です。
今津干潟は、博多湾西部の今津湾に流れ込む瑞梅寺川河口にある河口干潟で、河口部は砂質、主として瑞梅寺川からの堆積物によって形成された泥質干潟です。周辺部の後背地には干潟、アシ原、ハス田、水田、畑など多様な環境が多くの野鳥の住処になっていて、今津周辺では、これまでに300種を超える野鳥が観察されているそうです。クロツラヘラサギの定期的な越冬地として、バードウォッチャー達の間では全国的に知られている干潟です。
今津干潟は西区の宝に指定されています。
クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギが訪れる今津干潟
クロツラヘラサギ(黒面箆鷺、学名Platalea minor)とは、コウノトリ目トキ科に分類される鳥類の一種です。
世界で約2000羽(生息数:2009年1月現在)しかいないとされる渡り鳥で、環境省のレッドデータブックでごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いとされる絶滅危惧ⅠA類に指定され、世界的にも貴重な野鳥なのです。
今津干潟には、この珍しいクロツラヘラサギが、日本で最初に毎年飛来する場所として注目を浴びました。
特徴
体長は75cmほどで、ヘラサギよりも少し小型です。全身の白い羽毛は、夏期には首が黄色くなり、後頭部に黄色の冠羽が現れます。 ヘラサギに似ていますが、ヘラサギがくちばしの先と顔の裸出部分が黄色なのに対し、クロツラヘラサギは名前のとおりくちばしと顔が全て黒いのが特徴となっています。
クロツラヘラサギの詳しい情報は、 ウエットランドフォーラムにあります。
ハマボウ
「濱椿」とも言われ、万葉の昔から詩歌によく詠まれています。
7月から8月の間に一日だけ美しい花を咲かせます。 ただし、一斉に咲くわけではありませんので、花自体は一ヶ月以上に渡って楽しむ事ができます。
海岸沿いや河口付近の干潟の陸側や湿地帯に生育している樹高は3mほどになる落葉低木、アオイ科の植物です。 全体に細かい毛に覆われており、葉は先端が尖った楕円形で互生しています。
花期は7月から8月で、5cm程度の、中心が赤褐色の黄色い花を咲かせます。 花弁は付け根から回旋して伸び、中心の赤褐色部は船のスクリューのように見えます。 花の形態は同属のハイビスカスやムクゲやフヨウに似ています。
現存する個体数は多く、栽培も広く行われているのですが、干潟の減少や海浜部の造成のため天然状態での生息地が年々狭まっています。 ここ今津干潟の一部には、古くから自生していましたが、その数少なくなったハマボウの天然で自生する姿を確認することができます。
半マングローブ
マングローブ(英: Mangrove)とは、熱帯 - 亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地に成立する森林のことを言いますが、このハマボウは半マングローブと言われます。 真のマングローブ(true mangrove)に類似した植生として、半マングローブ(semi-mangroveまたはminor-mangrove)があり、広義のマングローブとして考えられています。
マングローブ植物が、自然状態では潮間帯のみに生育し、陸地に分布を広げないのに対し、半マングローブを構成する植物(以下、「半マングローブ植物」とする。)は陸地での生育も可能な種が含まれます。 半マングローブはマングローブと混在、あるいは周辺の陸地部に立地します。
日本では、半マングローブを構成する代表的な種としてハマボウやハマジンチョウ、ハマナツメなどが挙げられます。
今津のハマボウは西区の宝に指定されています。
毘沙門山
毘沙門山は、今津の北西にある山で標高177mです。 主に黒雲母ホルフェンスと角閃岩からなり、変斑糲岩・蛇紋岩を伴っています。 山頂部には橄欖石粗面玄武岩が露出し、柱状節理が発達しています。 山体は採石のため北側の半分を失っています。 この付近は鎌倉末期の元寇の史跡に富み、毘沙門山を中心に北の長浜海岸、東の長垂海岸へと石塁が構築され、延長20㎞に及び、所々に現存します。
頂上は毘沙門堂
毘沙門山の頂上には、誓願寺の奥の院である「毘沙門堂」があります。 こちらは道が細いため、ハイキング気分で登られるのがよろしいでしょうか。 登り口は2ヵ所あり、誓願寺の裏手の方から登る道と、蒙古塚と今津公園に挟まれた道から登る方法があります。 どちらも最後は道が合流し、一本になります。